ボクノミナル

ボクノミナルとき、下を向く。

ずっと前へと顔を上げると、黒いマットな壁紙を突き破って、丁字に橙と茶の混濁した光が目に入る。

右手で少し浮いた壁紙をめくると、その奥には中世ヨーロッパの街灯が光を落としていた。街灯の背後にピッタリと身を寄せる規律化した石畳。身長×0.8の高さしかない石畳はザラっとしていて、目の高さの光の濁りはマットな生地をしていた。

濁った光はクマムシの形へと生地の端をまとめる。全長1.8mのクマムシが石畳の上でそっと浮かぶ。クマムシのおしりに頬を重ねるように上からまたがると、クマムシの頭は10cm下に沈んだ。

タブ

まっしろな言語があるとする。

タブスペーススペースの順に並んでいる。 タブとスペースの区切りには0.2cm程のすきまが空いている。タブもスペースもroundedだ。

タブとスペースの間に区切り線を置くとしたら、灰色のカーソルみたいなものを置きたい。grayだと少し濃い気がするから灰色という指定をする。

タブの間をカーソルがぬるっと動く。反復横跳びするみたいに動く。横方向にぬるっと動く。速度は線形ではない。カーソルはなぜかタブを突き抜けて動く。タブとカーソルの境界空間があったはずなのに、いつの間にか同化しては消え、また灰色の線がタブの左方から姿を現す。

タブの四隅は少し窪んでいた方が良い。親指と人差し指で塩をつまむみたいに内側に向けて窪んでいるほうがよい。四隅の方がタブの厚みが増すから、少し色がくすんでいる。

四隅の角はさらっとしている。私は何度も親指の腹で角を撫でては、人差し指で親指の腹の感触を確かめる。ガラス粉が指に付いた。

私はタブを斜に構えて見ている。