ボクノミナル

ボクノミナルとき、下を向く。

ずっと前へと顔を上げると、黒いマットな壁紙を突き破って、丁字に橙と茶の混濁した光が目に入る。

右手で少し浮いた壁紙をめくると、その奥には中世ヨーロッパの街灯が光を落としていた。街灯の背後にピッタリと身を寄せる規律化した石畳。身長×0.8の高さしかない石畳はザラっとしていて、目の高さの光の濁りはマットな生地をしていた。

濁った光はクマムシの形へと生地の端をまとめる。全長1.8mのクマムシが石畳の上でそっと浮かぶ。クマムシのおしりに頬を重ねるように上からまたがると、クマムシの頭は10cm下に沈んだ。